派遣・アルバイト・正社員の求人

　派遣社員には、産休を取得できることを知らない人が少なくありません。産休取得は、雇用形態に関係なく法律で認められている権利なので、取り損ってしまうのは避けたいところです。しかし、産休を取っていないのは、取得できることを知らない場合だけではありません。取れることを知っていても申請をあきらめている派遣社員もいるそうです。もし産休を取ると、その後仕事に復帰できないのではないかという不安を感じているためです。この記事では、派遣社員が産休を取るメリットとデメリットを紹介し、デメリットを払拭するための方法などについても解説します。

　働く女性が産休を取得することには意味があります。産休は通常の休暇とは異なります。事前にどのようなメリットがあるのかをきちんと知っておきましょう。
　産休は取得できる期間や条件が決まっていますが、産休を申請して休むことで、働きなれた職場に復帰できる点が大きなメリットと言えます。もしも、産休を取得せずにそれまでの仕事を辞めてしまった場合には、産後、新たな職場を探さなければなりません。乳児を抱えて職場を探すのは大変です。もしも、出産した後も仕事を続けたいという意思があるなら、辞めるのではなく産休を取得するほうがよいでしょう。
　また、妊娠中のストレスを軽減できるという点もメリットと言えます。妊娠中は少しでもストレスを避けたいところです。雇用の不安やストレスがあると心身ともに落ち着かないので、産休によって産後の職場を確保しておくことは、ストレス軽減のためにも大事です。さらに、社会保険に加入している人は、休業中の手当が支給されます。経済的なメリットも見逃せません。

　派遣社員の場合、産休を取ることには大きなメリットがあるものの、デメリットがないわけではありません。デメリットを理解したうえで、取得することが大事です。
　たとえば、職場復帰の際に、産前の派遣先とは違うところに派遣される可能性があります。派遣社員の場合、産休を請求する先は派遣元です。そのため、派遣元と派遣先の話し合いの結果、これまでの派遣先へは別の人が派遣されるケースがあります。産休中だけ別の人が派遣されるとは限りませんし、職場復帰のタイミングでその派遣先からの求人がなくなっていることもあります。その場合は、元の職場に復帰できず、新たな職場への派遣になるため、乳児を抱えながら新たな職場に慣れなければならない点が、デメリットと言えるかもしれません。
　派遣社員の場合、派遣先に自分の要求を全て認めてもらえるとは限りません。妊娠中欠勤が増えて、通常の業務に差支えがある場合などは、派遣元も代替要員を派遣するなどの協力が必要です。他の派遣社員との勤務調整が必要になる場合など、自分の都合に合わせて出勤できるとは限らない職場もあります。職場復帰に際しても、育児を中心とした新たな希望条件に沿う派遣先を派遣元が確保できない場合には、産後の職場復帰が難しい場合もあります。

　ここで、女性の皆さんにアンケートを取ってみました。派遣社員という立場で産休を取ることに不安があるかどうかという内容です。

　【質問】
　派遣社員で産休を取るのは不安ですか？
　【回答結果】
　はい : 87
　いいえ : 13

　調査地域：全国
　調査対象：【性別】女性
　調査期間：2018年07月12日～2018年07月19日
　有効回答数：100サンプル

産休取得に不安を感じる人が約9割も

　今回のアンケートでは、100人中87人もの人が、派遣社員が産休を取得するのは不安があると答えました。
・産休後に復帰しても子どもが熱を出したりするたびに休んだり早退したりしなければならずかなり肩身の狭い思いをしたと先輩から聞いたことがあるから。（40代／個人事業主・フリーランス／女性）
・制度があるのは知っていますが、他の人にその仕事を割り振られるんじゃないかと思いました。（30代／無職／女性）
・正社員でさえ産休をとりにくい会社が多いなか、派遣社員の立場ではなかなか産休を取得しづらい。取得できる環境だとしても、実際に産休を取得したことがあるスタッフが多くいないと、周りの理解も得られず心苦しい気持ちになりそうだから。（30代／専業主婦／女性）

　不安があると答えた人のコメントを見ると、派遣社員の場合、産休を取るとすぐに代わりの人が来てしまい、元の職場には戻れないのではないかという意見が目立ちます。また、産休中よりも復帰後を心配する声が多いのも特徴的でした。一方、不安はないと答えた人のコメントは以下の通りです。

・法律で決められた休暇なので取ることは不安ではないが、復帰までに保育園などが決まるかは不安。（30代／正社員／女性）
・派遣元がしっかりとその辺りの説明もされていて、ガイドラインにも産休・育休についても記載があるから。（20代／派遣社員／女性）
・何人も産休を取っている人を知っているから。（30代／専業主婦／女性）

　不安がないと答えている人のコメントを見ると、「産休は法律で認められた権利だから不安はない」「周りに産休を取った人がいる」という意見が目立ちます。また、産休を取得すること自体には不安はないものの、職場復帰のための環境が整うかどうかに不安を感じているという声も聞かれました。
　今回のアンケートでは、コメント内容から、派遣先の企業や派遣元の派遣会社によって、産休の取りやすさにかなり差があることがうかがえました。産休を気兼ねなく取れるかどうかは、職場環境の影響が大きいようです。では、ここからは、産休を所得することによって生じるデメリットをどうやって払拭すればよいかを解説していきます。 　

　派遣社員にとって、派遣先が変わることが、大きなデメリットなのかをまず考えてみましょう。産前から、職場復帰の際には派遣先が変わる可能性を念頭に入れておけば、ストレスは軽減します。確かに、同じ派遣先に戻ることができれば、覚える仕事は少なくて済みますが、良いことばかりとは限りません。出産前の仕事ぶりと比較されることもあるでしょう。それならば、小さな子どもがいる前提で働かせてくれる新しい派遣先に移ったほうが気は楽かもしれません。
　産休の申請をする前に、職場復帰する際の希望条件を整理し、順位づけをしてみましょう。その上で、申請と同時に派遣会社に伝えておくことが大事です。実際に出産して条件が変わった場合は、その都度、早めに派遣会社に連絡します。そうすることで、就業先が変わる場合でも、絶対に譲れない条件を満たした派遣先を紹介してもらえます。産休取得を理由に不当な扱いをすることは法律違反です。もし、あまりに悪質な対応があった場合は、労働基準監督署へ連絡しましょう。泣き寝入りをする必要はありません。 　

　派遣社員は、産休だけでなく育休も取れます。ただし、取得条件が細かく決まっているので、申請すれば誰でも取れるというわけではありません。まず、派遣社員の場合は、同じ派遣会社で1年以上継続して就業している必要があります。そのうえで、子どもが1歳の誕生日を迎えても雇用される見込みがあり、なおかつ子どもが1歳6カ月になる前日までに契約期間が満了となることが明らかになっていないことが条件です。さらに、子どもが2歳になる前日までに契約が満了になることが明白になっていない場合には、2歳になるまで育休期間を延長できます。なお、育休を取るためには育休予定の1カ月前までに申請が必要です。 　

　産休や育休を取る際に受けられる補助や一時金がいろいろあります。たとえば、届出が必要ですが、産休の期間は社会保険料が免除されます。また、社会保険や雇用保険に加入している場合は、出産一時金と出産手当を受け取れます。出産後、育休を取る場合は、育児休業給付金の対象にもなるので、忘れないように申請しましょう。 　

　派遣社員が不安なく産休や育休を取得できるかどうかは、派遣会社による差が大きいと言えます。産休や育休は、派遣先ではなく派遣元の会社に申請するものです。しっかりしている派遣会社なら、産休・育休制度のことも理解しているので、たとえ派遣先が理解不足でも正しく対処してくれます。派遣登録の際に、担当者がどのような対応をするかをよく見て、できるだけ親身になってくれる会社を選ぶようにしましょう。

関連記事：「派遣社員も産休を取れる！知っておきたい基礎知識」をご参照ください。

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