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2018/11/05(月) 配信
派遣社員の給料には消費税がかかります。ただし、事前に派遣会社との契約で支払われることになっている金額から消費税が引かれるというわけではありません。では、どこで派遣社員の給料に消費税がかかるのでしょうか?その点を理解せずに消費税だけが引かれているのを知ってしまうと、不満に感じるかもしれません。あらかじめきちんと理由を知っておきましょう。ここでは、派遣社員の給料に消費税がかかる理由などについて解説します。
派遣社員で働くつもりだった人が、派遣社員として働くと給料に消費税がかかると知ったら、やっぱり辞めておこうかなどと思ってしまうかもしれません。しかし、派遣社員の給料には消費税がかかるというだけで、支払われる給料から消費税が引かれるわけではありません。「給料に消費税がかかる」と「給料から消費税が引かれる」は一見同じように思えるかもしれませんが、実は全く中身が違います。派遣社員の給料が消費税の対象になるのは個々の派遣社員に給料が支払われる段階ではありません。派遣先から派遣会社に給料分として派遣労働の対価が支払われるときです。派遣の場合、派遣社員と派遣先の企業とのあいだに直接雇用関係はありません。派遣契約を結んでいるのは派遣先の企業と派遣元の派遣会社です。この会社間の派遣契約とは、商品の売り買いと同じようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。派遣労働を提供するので、その分の代金を払ってくださいというような感覚です。派遣会社の売り上げには消費税がかかるため、派遣先の会社には消費税をプラスした金額を請求し、派遣会社が受け取った金額のなかから消費税を支払うという形になります。
では、派遣社員がもらう給料に消費税がかかっていることを知っている人はどれくらいいるのでしょうか?アンケートを取って調べてみました。
【質問】
派遣社員の給料には消費税が発生することを知っていましたか?
【回答結果】
知っていた:24
知らなかった:76
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月23日~2017年06月30日
有効回答数:100サンプル
知っていた人は4人に1人
今回のアンケートでは、派遣社員の給料に消費税がかかることを知らなかった人が多く、100人中76人もいました。
・消費税が発生することは知らなかった。手取りにしか興味がなく、気が付かなかった。(40代/正社員/男性)
・派遣社員の給料に消費税が発生するのは聞いたことがありませんでした。ネットやTVでも話題にあまり上がったことがないからだと思います。(20代/個人事業主・フリーランス/男性)
・今まで知らなかった。どうして消費税が発生するのか、理由を知りたい。(20代/無職/女性)
知らなかったと回答した人のなかには、派遣社員として働いたことがある人も多く、給料を受け取りながらも消費税がかかっていたことに気づいていなかったとコメントする人が少なくありませんでした。テレビなどで話題にならないことを不思議がっている人もおり、なぜ消費税がかかるのか理由を知りたいとコメントする人も目立ちました。一方、知っていたと回答した人のコメントは次の通りです。
・人材派遣会社が派遣先の企業から受け取る人材派遣の対価について、消費税の課税の対象になると聞いています。(40代/正社員/男性)
・直接雇用と違い、派遣はサービスの提供ですので消費税がかかるからです。(30代/個人事業主・フリーランス/女性)
・派遣会社に登録した際に、派遣会社から受けた説明のなかにあったので。(40代/正社員/女性)
知っていたと回答している人は、実際に派遣社員として登録する際に説明を受けたり、給与明細で引かれているのを確認したりしている人が多いようです。なぜ消費税がかかるのかを説明するコメントもいくつか見られました。
今回のアンケートでは、派遣社員の給料に消費税がかかるということも、真相を知らないまま給料から消費税を引かれていると思い込んでいる人も少なくないことがわかりました。なぜ派遣社員の給料に消費税がかかるのかを知る機会がもっと必要なのかもしれません。それでは、派遣社員の給料に消費税がかかる仕組みを改めて詳しく見ていきましょう。
派遣社員の給料に消費税がかかっていると言っても、派遣社員が直接消費税を引かれているわけではありません。ですから、消費税を引かれて損をしているのかというとそうではありません。派遣社員の給料が特殊な仕組みで支払われているため、途中で消費税がかかっているというのが本当のところです。正社員やアルバイトなどの直接雇用で支払われる給料には消費税がかかりません。しかし、派遣社員の給料は、派遣先の会社から直接支払われるわけではなく、あいだに派遣元の派遣会社が入ります。たとえば、派遣元と派遣先の契約では、派遣社員1人辺り1時間2,000円で派遣するという契約をしていたとしましょう。それに対して、派遣社員とは時給1,500円で契約していたとします。消費税が8%の場合、派遣会社は派遣先の企業から、1人1時間当たり2,160円受け取ったうえで、500円を自社の収入とし、160円を消費税として支払い、派遣社員に1,500円支払うという給料の支払い方をします。派遣先の会社は労働提供の対価として派遣元の派遣会社に派遣社員が働いた分の料金を支払うため、そこで消費税が発生するのです。派遣社員が派遣会社から知らされている時給は、派遣会社から派遣社員に支払われるときの金額なので、そこから消費税が引かれるというようなことはありません。
消費税が増税されると、その分だけ派遣社員が増えるという話があります。消費税が高くなったらその分だけ経費削減で外注しなくなりそうに感じるかもしれませんが、会社には経費という考え方があります。もしも、労働力を直接雇用の正社員にさせた場合は給与という形になるのに、派遣を外注すると外注費や委託費という形になります。つまり、派遣労働を雇うというのは、消費税法上は課税仕入れをしていることと同じという考え方になります。わかりやすく言うと、給与は消費税の対象外なのに対して、外注費や委託費は課税対象だということです。もし、300万円の契約で派遣契約を結んだ場合、外注費は消費税8%なら324万円で、24万円も消費税を支払わなければならない計算になります。一見損に見えますが、納税額には控除があり、1人派遣社員を雇っただけで、会社全体の売り上げに対する納税額を減らせます。このカラクリがあることによって、直接雇用を止め、派遣社員を雇おうとする企業が増えることが考えられます。しかも、もしも300万円の契約に消費税を含んだ場合には、更に派遣先企業にとってのメリットが膨らむため、派遣会社が損を承知で契約を結ぶようなことが続くと、ますます派遣社員が増えることになります。
派遣社員の給料に消費税がかかるというと、派遣社員にとって損な状況を想像しがちですが、派遣社員がもともともらうことになっている金額から消費税が引かれるわけではありません。派遣先企業が派遣会社に支払う対価に消費税がかかるという話です。派遣社員の給料と消費税の関係では、消費税が増税されると、その分だけ派遣先企業が直接雇用の代わりに派遣社員を雇うことに税制上のメリットがあります。そのため、派遣の仕事が増えることもありえます。
関連記事:「気になる派遣社員の給料!どんな仕組みになっているの?」をご参照ください。
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