派遣・アルバイト・正社員の求人

　平成27年度の労働者派遣法改正によって廃止が決まった特定派遣ですが、経過措置期間中は特定派遣と一般派遣2種類の派遣が存在します。どちらかを選べる場合もあるため、 特定派遣と一般派遣の特徴や違いについて知っておきましょう。どちらを選ぶか考える際に、両者にどのような違いがあるのかもわからないのでは自分に合う方を正しく選べません。 ここでは特定派遣と一般派遣の特徴を知り、正しく見分けるためのポイントを紹介します。

　特定派遣とは、派遣会社の正社員として常用雇用契約を結んだ後、労働力を必要とする派遣先に派遣され、そこで派遣社員として仕事をするという派遣の形です。 これまでエンジニアなど専門性の高い業種で主に採用されていた派遣の形で、派遣期間も無期限という点が一般派遣とは異なっていました。しかし、平成27年度の派遣法改正で、 特定派遣は廃止され、一般派遣と同様に派遣期間が3年に制限されることに決まりました。経過措置期間中は、事業所が所定の届け出をすることで特定派遣が続くことになりますが、 個人単位でも事業所単位でも派遣に期限が設けられることになったため、特定派遣は同じ職場で長期間に渡り働き続けられるという特徴を失ったことになります。

　一般派遣はこれまで特定派遣以外の派遣という位置づけでした。特定派遣が常用雇用のみなのに対して、一般派遣は登録型雇用が中心という違いがあります。 派遣会社に派遣労働者として登録することにより、技能や条件に合った仕事の紹介を受けられるようになるのが特徴です。派遣先との合意に至った際には雇用契約を結んで派遣社員として働くスタイルで、 特定派遣とは異なり、あらゆる業種に対応しています。業界業種に関わらず、労働力を必要とするところに必要な労働力を派遣するためのシステムと考えるとわかりやすいかもしれません。 高いスキルを必要とするものから、ほとんどスキルを必要としないものまであらゆる仕事に対応しているのが特徴です。

　特定派遣と一般派遣の簡単な見分け方のポイントは派遣会社との雇用形態です。 特定派遣は派遣元と常用雇用契約を結んで正社員などになったあとで、労働力を必要としている派遣先に派遣されていく形です。それに対して、一般派遣の場合は、 派遣会社に労働者として登録したあとで、その技術力や条件に見合った仕事を見つけ、派遣先との条件が合ったときには派遣契約を結ぶという形です。もう1つの大きな違いは業種です。 特定派遣は専門性の高い一部の業種に限られているのに対して、一般派遣はありとあらゆる業種に対応しています。特定派遣は誰にでもできる仕事内容ではないという点で、 一般派遣よりも条件がよく雇用も安定しているのが特徴でした。

　一般派遣許事業の認可を取得するためには、資産要件を満たす必要があります。直近の決算書で純資産に関する要件、現金に関する要件、負債の比率に関する要件の3つを確認し、いずれも要件を満たしていることが条件です。具体的には下記のような条件です。
　・純資産に関する要件
　　資産から負債を引いた金額が2,000万円以上あること。
　・現金に関する要件
　　資産の内現金が1,500万円以上であること。
　・負債の比率に関する要件
　　資産から負債を引いた金額が負債の7分の1以上あること。
　ただし、法改正以前の特定労働者派遣事業が一般派遣事業に切り替える場合には特例がありますが、事業所が本社と支店に分かれている場合のように複数ある場合は特例の対象とはなりません。かなり厳しい資産要件ですが、要件を満たしていない場合は、借入をしたり増資したりして要件を満たすようにするか、一般派遣事業を行うことをあきらめるかという選択になります。

　特定派遣は派遣会社と常用雇用の関係にあるはずなのに、実際のところは特定派遣なのかどうか見分け方がわからないというケースが少なくありません。 特に、エンジニアの場合、就職先と正社員契約を結んだうえで客先常駐する場合でも、それが派遣ではなく、業務委託や請負のケースもあるからです。 まず、特定派遣かどうかを確認するためには、正社員としての契約を結んだ会社が人材派遣許可番号を持っているかどうかを確認するのが手っ取り早い見分け方です。 派遣事業の許可を得ていれば特定派遣の可能性が高くなります。逆に、経済産業省のシステムインテグレータ登録を受けている場合は特定派遣ではない可能性が高くなります。 また、会社内に技術系の部署が無かったり、直属の上司が技術系の社員でなかったりする場合は特定派遣の可能性が高いと言えます。

　最後に、派遣社員として働く際に、一般派遣か特定派遣かを気にする人がどれくらいいるかアンケートを取ってみました。

　【質問】
　一般派遣か特定派遣かどうかは気にしますか？
　【回答結果】
　気にしている : 52
　特に気にならない : 112

　調査地域：全国
　調査対象：年齢不問・男女
　調査期間：2017年06月23日～2017年06月30日
　有効回答数：164サンプル

気にする人は3人に1人

　今回のアンケートでは、全体の約3分の2の人が特定派遣か一般派遣かは特に気にならないと答えています。
　・同じ職場には 短期か決まった期間でしか働きたくないので 特に雇用形態には気になりません。（40代/個人事業主・フリーランス/女性）
　・自分が働くのならば、持っているスキルから業種的に一般派遣だけしかないと思っているから。（30代/正社員/女性）
　・数年前までは、特定派遣の方が良いと思っていましたが、労働者派遣法の改正があってからは、最長3年間という期間内でしか派遣先で働けなくなったので、一般派遣と特定派遣というこだわりは、抱かなくなりました。（40代/無職/男性）
　気にならないと回答している人でも、コメントを見てみると考え方に差があることがわかります。短期で次々と働く場所を変えていきたいから特定派遣には魅力を感じないという人と、自分のスキルでは特定派遣はあり得ないから気にならないという人と、法改正によって今後特定派遣が廃止されることがわかっているから気にならなくなったという3つのパターンがあるようです。一方、気にしていると回答した人のコメントは以下の通りです。
　・待遇や１時間あたりの給料が違うので気になる。（20代/パート・アルバイト/女性）
　・特定派遣の場合、派遣先との派遣契約が終了しても、派遣元との雇用契約はなくならないので、健康保険や厚生年金保険にブランクが発生しないからです。（40代/正社員/男性）
　・もしも正社員を目指しているならできれば特定派遣の方がその確率が高いから。（20代/正社員/女性）
　気にしていると回答した人のコメントを見ると、特定派遣は契約期間が満了した後の安定性が一般派遣と違うことや、給与、福利厚生面で優遇されている点が気になる理由であることがわかります。
　今回のアンケートでは、特定派遣のメリットを実感できる職種の人ほど違いを意識しているように感じられました。

　特定派遣は廃止され、一般派遣との差が無くなってしまうことになりますが、現状ではまだまだ違いが残っています。経過措置中に派遣社員として働き始める場合は、 経過措置期間が終わったあとの働き方に影響する可能性があるため、どのような違いがあり、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるかは気にしたほうがよいでしょう。 特に、専門性の高い業種で派遣の仕事をする際には、現状で給料や待遇の差があるため、今後の働き方も含め、特定派遣を選ぶべきか真剣に考える必要があります。

　関連記事：「今のうちに知っておこう！一般派遣って何なの？」をご参照ください。

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