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2020/01/09(木) 配信
テクノロジーが進化していくにつれて、工場での製品の製造の方法にも変化が出てきています。一昔前は、ライン生産がほとんどでしたが、工場によってはセル生産を重点的に実施しているところが増えてきています。ロボットとインターネットを活用するような生産形式も登場してきました。本記事では、セル生産について主に解説するとともに、ライン生産との違いについても紹介します。
この段落では、セル生産の基本的な知識について説明していきます。
セル生産とは?
セル生産とは少人数、もしくは1人だけで製品を完成させてしまう作業形態のことです。日本で開発され、急速に広まった形式で、正式名称は「ワークセル生産方式」となります。海外にも普及されている生産方式で、そのニーズはさまざまです。セル生産を実施するとき、作業者のまわりのできるだけ近くに工具や部品を配置するため、作業台が「コ」の字型になります。この「コ」の字を細胞に例え、セル生産方式と呼ばれるのです。完全に単独で作業をする形態をとるときは、1人屋台生産方式と表現される場合もあります。
セル生産の定義は多岐に渡るため、簡潔に説明するのはむずかしいです。定員の数が決まっていないライン作業と考える場合もあります。セル生産は消費者の多様化する要求に合わせて柔軟に製造ができますが、個人の幅広く高いスキルが必要となるため、現代ではあまり普及していないとされている場合もあります。
セル生産の主な特徴
セル生産は1人が担当する作業内容が非常に多くなります。作業者は状況に応じて、場所を移動しながら作業をこなしていかなくてはなりません。個人で作業を行うため、生産する量の調整はしやすく、在庫を抱える状況はほとんどないでしょう。狭いスペースでも、生産できる環境が用意できます。セル生産を導入している主な企業は情報機器メーカーや家電メーカーです。
セル生産が誕生したいきさつ
セル生産が登場したのは1990年代のはじめ。消費者のニーズが多様化したことにより、タイムリーな製品の提供が求められましたが、ライン生産では厳しい状況でした。在庫をできるだけ抑え、ニーズの多様化に対応できる生産をするべきという意見が台頭してきた時代です。しかし、従来のライン作業ではこういった要求に応えることができませんでした。そこで登場したのが、個人で多種多様な生産を行うセル生産です。ひとりで1000以上ある部品を組み立てるようなケースもなかにはあります。
日本がセル生産を生み出せたのは、もともとその下地になる技術があったからです。1980年代には「U字ライン」や「二の字ライン」など、セル生産のひとつともいえる技術を既に持ち合わせていました。U字ラインはU字型のラインで少人数で生産する形態、二の字ラインはバランスが釣り合うように配置したラインで同時に生産する形態です。作業用ロボットを駆使し、自動化するのが主流でしたが、自動車などの大きな部品を組み立てるラインでは自動化は困難です。そういったケースで、U字ラインや二の字ラインが活躍しました。
また、日本はIE(Industrial Engineering:生産工学)の技術が高かったことも、セル生産の追い風となったようです。性能が高いコンベヤラインを開発するうえで、IE技術は多大な貢献を果たしました。IEスキルだけでなく、日本の誇るトヨタ生産方式、JIT(Just In Time:ジャストインタイム生産システム)なども加わることで、セル生産のクオリティはより高まっていったのです。
セル生産は少ない人数で作業をしますが、ライン作業では多くの作業員を要します。一定の人数が揃わなくてはラインが動かせません。また、人数が少ないセル生産はさまざまな作業を個人が担当しますが、ライン生産ではひとりが担当する作業は少ないです。ひとつのことを、何時間も繰り返す、ということもあります。
セル生産は必要に応じて場所を変えながら作業をしていく展開が多くなります。ライン生産は基本的に移動がなく、担当位置に留まり作業することになります。レイアウトの変更に関してもライン生産は簡単にはできません。ライン生産はベルトコンベアが固定されているためです。セル生産であれば適宜、レイアウト変更を行うことが可能です。
ここではセル生産のメリットとデメリットについて解説します。
セル生産のメリット
セル生産のメリットは多岐に渡る製品を、少人数で作り出せる点です。また、セル各々が独立しているので、生産ライン全体を停止させなくても、生産する種類が変更できます。従来のライン作業では生産する商品を変える際に、治具や部品を交換する作業が発生し、全体に影響がでるケースが多くあります。セルは個別で生産をおこなっているので、ひとつのセルで変更作業をして、他のセルで作業を続けられます。ベアラインやコンベアを必要とせず、小さな作業台をコの字型に並べたような小規模なエリアで臨機応変な生産が実施できるのです。スキルの高い技術者で構成されたチームであれば、少人数でもコンベヤラインの生産性を超える事例もあります。
ライン生産では材料の入れ替えなどを実施する際に、作業員に待ち時間がでる場合があります。その点、セル生産はひとりで複数の作業をこなすため、無駄な時間を過ごすことはなく、効率性の高い作業の実現が可能です。状況に応じて、セルを増やしたり、減らしたりすることで、レイアウトが簡単に変えられるのも強みといえるでしょう。一部のセルが遅れたとしても、他のセルが影響を受けずに作業が進められるのもメリットです。
セル生産はひとりでさまざまな製品を作る性質上、責任感や達成感を大きく感じることができ、モチベーションの維持がしやすいといわれています。スキルアップが期待できない仕事だと、作業がマンネリ化しがちですが、セル生産は多様なスキルを習得できます。
セル生産のデメリット
セル生産はひとりで各種作業を行う必要があります。生産作業を担当するには、いろいろなスキルを習得しなくてはなりません。スキルがない新人をセルにいれてしまうと、生産性は大きく落ち、仕事が回らなくなります。セル生産はスキルによって作業できる量が変化するのが特徴で、人によって進捗は大きく異なってくるでしょう。想定よりも作業が進まないといった状況もあり得ます。また、作業のノウハウを横展開したいと考えても、作業時間の最中に実施するのは無理があります。別途時間を設定するなどの配慮が必要になるでしょう。
個人で多くの作業を担当していると、製品の細かい不具合を見逃す可能性が高くなりがちです。そういった意味では、セル生産はリスクのある形態といえるかもしれません。製品品質の安定性を求めるのであれば、大人数によるライン生産のほうがよい場合もあるでしょう。
高いスキルが求められるセル生産の作業員を育てるのはむずかしい面があります。幅広い教育を実施しようと思えば、それに比例してコストや時間もかかるでしょう。セル生産を実施するには長期雇用が前提ですが、現代は非正規社員が増えてきています。その影響で、セル生産に対応できる作業員は少なくなってきています。こうしたことから、セル生産を確立するためには時間がかかる状況となっています。
作業者へ教育する時間が長くなりますので、作業員が頻繁に入れ変わる環境の場合、セル生産の実現はできないでしょう。教育のコストだけでなく、各セルごとに品質のよい検査装置を各種設定する必要があり、その分のコストがかかることも留意しなくてはなりません。
この段落ではライン生産のメリットとデメリットについて解説します。
ライン生産のメリット
ライン生産は一人ひとりの作業員に求められる作業が少ないです。仕事は単純なものが多く高いスキルが求められることも少なくなっています。基本的には決まった作業の繰り返しになるため、仕事はすぐに覚えられるでしょう。仕事が単純で覚えやすいので、ラインの中での担当の変更や欠員にも柔軟に対応することができます。したがって、作業員の教育にかかる時間やコストを大幅に抑えることができます。また、それぞれの作業員の担当の作業を定期的に交代することで徐々にスキルの幅を広げていくことも可能です。
ラインの速度は一定になっており、生産性を正確に計測できます。作業進捗が図りやすいのがライン生産のメリットです。また、同じ製品を大量に作る際には、セル生産よりも高いパフォーマンスを発揮できます。なにか特定のものを大量生産する工場であれば、ライン生産を導入することによって、大幅な生産性の向上やコストカットが期待できるでしょう。
ライン生産のデメリット
ライン生産は誰でも安定して仕事ができる分、作業員のスキルアップがあまり望めないケースがあります。作業の性質上、決められた内容をこなすことが重要ですので、新しいチャレンジの機会は少なくなりがちです。単調な作業がずっと続くような作業であれば、モチベーションが続かなくなることもあるでしょう。作業が辛くなったり、飽きてしまったりした結果、辞めてしまう人もいます。ライン生産は作業員の定着率があまりよくなく、人手不足になりがちです。仮に作業員が増えたとしても、生産性の向上にはならない点もネックでしょう。
これはセル生産でもいえることですが、体力的に厳しい面があります。仕事の内容によってはずっと立ちっぱなしということも覚悟しなくてはなりません。女性に向けた座りの作業もなくはないですが、体力はある程度求められると考えておいたほうがよいでしょう。夜勤などもあるので、生活が不規則になる人も多いです。
ライン生産は全工程で繋がっているため、ひとつの不具合やミスが全体に影響するリスクがあります。作業内容が簡単とはいっても、責任が軽いわけではないのです。高い集中力を持続し、ミスを防がなくてはなりません。作業中にトイレにいきたくなったり、体調が悪くなったりしてラインを止める場合も、全体に影響が出ます。こういったことを気にし過ぎると作業員の精神的なプレッシャーは大きくなるでしょう。
また、ライン生産では生産する製品が変わった場合、それに対応したラインの変更の作業が複雑で時間がかかります。生産用のロボットの設定変更やプログラム変更、治具の変更、供給する部品の変更など多岐にわたります。もちろん、作業員の作業内容も変わるので、変更した後は作業ミスなども出やすくなります。こうしたトラブルにより、ラインの稼働率が低下することも珍しくありません。
ダイナミックセル生産方式とは、セル生産が進化した形です。クラウドにある情報を利用し、リアルタイムで生産方式や製品の組み替えが可能な方式とされています。ただし、実施するとなると、IoT(Internet of Things)やAIを活用したスマートファクトリー化を実現しなくてはなりません。スマートファクトリーとは工場に設置している機械とインターネットを繋ぎ、最適化や可視化を実施することです。生産の問題点を見つけだすには現状分析が不可欠ですが、IoTを活用すれば、産業ロボットや製造装置の状況を常に把握し、インターネット経由で現状分析や課題の共有ができるようになるのです。
ダイナミックセル生産方式はメリットが数多く期待できますが、注意しなくてはならない点もあります。例えば、産業用ロボットの導入が必要になるので、コストが高くなります。最新機器の扱いを覚えるための教育コストもかかるでしょう。また、最新の機械は導入するときだけでなく、導入したあともコストがかかり続けます。どれほど高性能な機材であってもメンテナンスが必要ないものは存在しません。メンテナンスマニュアルの作成、実施要員の教育にかかるコストも考慮しておく必要があるでしょう。
スマートファクトリー化によるダイナミックセル生産方式を構成することで、各地の工場で製品を生産する機器や作業員の稼働状況が把握できます。各地の稼働状況をモニタリングできるため、最適な人員の配属やメンテナンスが可能です。システムが上手くかみ合うことで、単なる大量生産では実現できなかった、柔軟な生産の実現が期待できるでしょう。ダイナミックセル生産方式はライン生産とセル生産のメリットを両立させるような生産方式なのです。
夜勤の健康管理としては、適度な運動を取り入れることも大切です。具体的にはどのような点に気を付けて、適度な運動を行っていけばよいのでしょうか。
軽い運動やストレッチがおすすめ
セル生産は特徴的なメリットをもっており、導入している工場は数多くあります。セル生産に従事できれば、さまざまなスキルを身につけられるはずです。また、セル生産を採用している工場の意図を理解していれば、自分に合う仕事を見つける際のヒントになります。ライン工場で安定して働くのもよいですが、いろいろな作業を覚えたい人はセル生産方式の工場も選択肢のひとつにいれてみてください。
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