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2020/02/03(月) 配信
衛生管理者は業種を問わず、あらゆる企業で需要が高い資格です。しかし、衛生管理者資格には第一種と第二種があります。これから取得の資格を目指すにあたり、どちらを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。そこで、衛生管理者資格の取得を検討している人のために、資格の違いや概要、取得方法など、知っておくべき基礎知識を紹介します。
衛生管理者とは、国家資格の一つです。第一種衛生管理者、第二種衛生管理者、衛生工学衛生管理者という3種類の免許が存在し、業種ごとに必要な免許が異なります。ただし、いずれの免許を取得しても、業務内容そのものに大きな違いはありません。衛生管理者の主な役割は、作業環境を良くしたり、労働者の健康管理をしたりすることです。
たとえ小さな危険であっても、積み重なれば大きな災害につながったり、労働者の生命を脅かすような危険を招いたりする可能性があります。そこで、衛生管理者は労働者の安全を守るために、定期的に事業場を巡視し、安全性の確認や労働者の健康管理を行うのです。なお、衛生管理者になるためには、必ずしも衛生管理者の免許を取得しなければならないとは限りません。医師や労働衛生コンサルタントなどの資格を持っていれば、衛生管理者として選任される場合もあります。
労働安全衛生法という法律により、一定以上の規模を有する事業所では、衛生管理者の選任が義務付けられています。必要な衛生管理者の人数は事業場の規模により異なり、常時50人以上の労働者が働く事業場であれば、最低1人の衛生管理者が必要です。労働者数が201~500人であれば2人以上、501~1000人なら3人以上と、事業所の規模が大きくなるにつれて必要な衛生管理者の人数も多くなります。さらに、労働者数が1001~2000人なら4人以上、2001~3000人なら5人以上、3001人以上なら6人以上の衛生管理者を選任しなければなりません。
なお、事業所とは同じ環境で同じ業務を担当する一つのグループを指します。たとえば、別の地域に支店を構えていたり、同じ事業場内で異なる業務を行っていたりする場合は、それぞれのグループに衛生管理者を置くことになります。万が一、選任義務を怠った場合は司法処分の対象となり、50万円以下の罰金を支払わなければいけません。ただし、衛生管理者は原則として他の事業所と兼任することはできず、一つの事業所に専任することになります。
衛生管理者が担当する仕事は多岐に渡ります。代表的な業務は事業場の巡視です。たとえば、有害物質を取り扱う事業場では、定期的に空気中の物質や水質を測定し、有害物質が漏れ出ていないかチェックします。さらに、危険な機械や有害物を安全に取り扱えるよう指導したり、安全衛生教育を実施したりするのも衛生管理者の仕事です。ただし、従業員への指導や教育を行うのは第一種衛生管理者に限ります。
また、安全委員や衛生委員の一員として会議に参加するのも、衛生管理者の役目です。会議で話し合う議題の策定や、議事録の作成を行うこともあります。さらに、従業員の健康管理も重要な業務です。健康診断やストレスチェックの結果を管理し、従業員の健康状態を把握します。ストレスチェックとは、従業員のストレスの状態を知るためのテストです。2016年にストレスチェック制度が施行されてから、50人以上の従業員が勤務する事業場では、ストレスチェックの導入が義務付けられています。
衛生管理者第一種と第二種は、業務内容こそ変わらないものの、できることには差があります。まず、第一種衛生管理者は、建設業や医療業、製造業など危険を伴う可能性がある事業場を含め、全ての業種で業務を行うことが可能です。一方、第二種衛生管理者が携わることができる業種は限られており、有害業務を行う事業場では働けません。第一種衛生管理者免許が必要な事業場は、職業病や労働災害が起こる可能性が高いぶん、第二種衛生管理者よりも責任は重いです。そのため、専門的な知識だけではなく、従業員の健康状態をしっかりと把握しながら、個人情報が漏洩しないよう守秘義務を守ることのできる責任感が求められます。
第二種衛生管理者は第一種衛生管理者に比べて、危険を伴う業務に携わる可能性は低いです。しかし、職場環境が原因の労働災害や健康被害についても見逃されてしまうことがあり、深刻な状態であるのか判断しにくいという問題もあります。そのため、衛生管理者は日頃から従業員と積極的に交流をはかり、問題があれば気軽に相談してもらえるよう信頼関係を築いていかなければいけません。
衛生管理者として勤務することを検討しているのであれば、どの免許を取得するか選ばなければいけません。ここからは免許ごとに選任できる業種の違いについて詳しく説明します。
第一種の場合
第一種衛生管理者は、有害な薬品やガスを取り扱ったり、操作に危険が伴う機械を使ったりする事業場でも業務を行うことができます。具体的には、電気業やガス業、水道業、熱供給業といったライフラインに関係する業種や加工業、製造業などです。建設業や運送業、鉱業などの危険な環境で業務を行う事業場でも選任できます。
医療業や清掃業、農林畜水産業のように特殊な薬品等を扱う業種や、自動車整備業や機械修理業などの危険度が高い作業を行う業種も、第一種衛生管理者の区分です。ただし、どのような事業場でも選任できるとは限りません。法で定められている有害業務の中でも、一定の業務を行う有害業務事業場には携わることができない場合があります。しかし、衛生管理者の他に、衛生工学衛生管理者が同じ事業場にいる場合に限り、選任が可能です。
第二種の場合
第二種衛生管理者が携われるのは、有害業務との関連が少ない一定の業種のみです。簡単にいえば、第一種衛生管理者が選任できる業種から有害業を省いた業種に携わることができます。代表的な業種は、金融業や小売業、卸売業、情報通信業などです。デスクワークが中心の事業所や、危険な作業を行う可能性が低い事業所と考えるとわかりやすいでしょう。
衛生管理者の資格を取得するためには、国家試験を受けなければいけません。試験を受けるにあたり、まずは受験資格を満たしている必要があります。まずは大学か短大、高等専門学校、高等学校のいずれかを卒業していることです。大学か短大、高等専門学校を卒業しており、かつ1年以上の実務経験がある場合、試験を受けられます。高校を卒業している場合は、3年以上の実務経験が必要です。なお、10年以上の実務経験がある場合に限り、学歴を問わず受験できます。
なお、第一種も第二種も試験日は同じです。そのため、併願はできません。しかし、試験は毎月実施されているため、最短で翌月には試験を受けられます。試験会場は全国7カ所にある安全衛生技術センターです。試験日と試験会場の詳細については、公益財団法人安全衛生技術試験協会の公式ホームページで案内されているため、試験を受ける前に確認しておきましょう。なお、試験手数料は6800円です。消費税は課税されません。
衛生管理者の国家試験を受けるには、実務経験が欠かせません。実務経験とは、簡単にいえば衛生担当者と同じ職務を指します。たとえば、健康診断の日程を調整したり、診断結果を管理したりするのも衛生担当者の仕事です。避難器具の点検や避難経路の確認も、衛生担当者の業務である事業場の巡視にあたります。従業員への衛生管理教育や、事業所の衛生条件を改善するための取り組みも、衛生管理業務の一環です。さらに、看護師と准看護師の業務も、衛生管理者の実務経験と見なされます。
これらの衛生管理業務は、小規模の事業場であれば一般社員でも担当することは可能です。なぜなら、労働者数が50人以下の事業場には、衛生管理者の選任義務はないためです。また、衛生管理者が選任されている事業所であっても、アシストとして実務にあたれます。複数の職場での衛生管理業務を担当した期間を合算すれば、受験資格を得ること可能です。正社員に限らず、パートやアルバイト、派遣社員として衛生管理業務を行った場合も、実務経験として認められます。
衛生管理者資格の試験科目は第一種、第二種ともに3教科です。ただし、出題数は異なります。科目は労働基準法や労働安全衛生法などの関係法令と労働衛生、労働生理です。第一種では関係法令と労働衛生が17問、労働生理が10問出題されます。第二種は各教科10問ずつです。試験時間はいずれも13:30~16:30の3時間ですが、科目免除の対象者は13:30~15:45の2時間15分で終了します。
また、既に第二種を取得している人が第一種の試験を受ける場合は特例第一種衛生管理者にあたるため、試験時間は13:30~15:30の2時間です。なお、合格基準として3科目の合計が60%以上、各範囲が40%以上の正解率である必要があります。合格率は2016年度の時点で第一種が約45%、第二種が約55%です。衛生管理者の試験の難易度は、それほど高くありません。
衛生管理者資格試験に合格した後は、自分で申請手続きを行う、衛生管理者免許の交付を受けなければいけません。免許証の申請は都道府県労働局または各労働基準監督署にて行えます。手続きの際に必要なのは記入済みの免許申請書と合格通知書、住民票などの必要書類です。免許申請書は厚生労働省のホームページからダウンロードもできます。
なお、ダウンロードした免許申請書を使うのであれば、写真を貼付してはいけません。写真の裏面に氏名を書き込み、免許申請用の封筒に同封しましょう。封筒には404円分の切手を貼ります。なお、衛生管理者の資格には有効期限はありません。免許の更新試験や更新手続きもないため、やむを得ない理由で再交付を申請する場合を除き、手続きを行うのは一度きりです。
労働者の数が多い職場では、複数の衛生管理者を選任する必要があります。そのため、大企業ほど衛生管理者の需要が高いです。衛生管理者資格があれば、大企業に転職できる可能性もあります。また、景気が良いと従業員が増えるため、衛生管理者の需要はより高まるでしょう。衛生管理者として働きたいのであれば、景気の波を観察することも重要です。
さらに、ブラック企業が問題視されるようになってからは、衛生管理の重要性も見直されています。労働者の衛生管理や適切な労働環境作りが行き届いていない企業は社会的な信用を失い、求職者にも選んでもらえない可能性があるためです。そのため、衛生管理者の需要が供給に追いついていない状況が続いています。
これから衛生管理者資格を取得しようと考えている人は、第一種と第二種のどちらを取得するべきなのか迷うこともあるでしょう。まず、第一種と第二種では選任できる業種が異なります。そのため、優劣がつけられません。既に第二種を取得していれば選任できる業種で働いており、今後も勤務を続ける予定があるなら、第二種資格のみ取得すれば十分です。
しかし、志望する企業がさまざまな事業を展開しており、有害業務も含まれる場合は、第一種資格を取得しておいたほうが、幅広い業務に従事できるでしょう。たとえ第二種で選任できる部署で働いていたとしても、後から第一種資格が必要な部署へ移動しなければならないこともあります。転職の際も第一種資格を持っていれば、選択肢が広がる可能性は高いです。
衛生管理者の求人は、ハローワークから求人サイトまで、さまざまな媒体に掲載されています。会員制の求人マッチングサイトや、民間の職業紹介事業者が運営する求人サイトでは、好待遇の非公開求人が見つかる可能性もあります。より待遇が良い求人を探したいのであれば、登録制の求人サイトを利用してみるのも良いでしょう。主な就職先として一般企業だけではなく、病院も挙げられます。衛生管理者と併せて、安全管理者や防火管理者、危険物取扱者などの資格を取得していれば、より大きなアピールポイントとなるでしょう。転職活動はもちろん、キャリア形成を有利に進めるためにも役立ちます。
衛生管理者は企業からの需要が高く、正社員雇用を目指す上で役立つ資格です。実務経験があれば取得できるうえ、パートやアルバイト、派遣社員など複数の職場での実務経験を合算すれば受験資格を得られます。衛生管理者としての実務経験を積める求人を探している人は、希望に応じた求人をマッチングしてくれるグロップを活用してみましょう。
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