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2019/10/03(木) 配信
工場勤務に資格は必要でしょうか。資格がなくても働いている人は大勢いるし、資格を取得するためには、勉強する時間や努力が必要となります。しかし、資格を取得することで、スキルアップや昇給などのさまざまなメリットが得られます。現状からのレベルアップを考えているのなら、仕事にいかせる資格の取得を目指しましょう。そこで今回は、工場勤務で役に立つ資格や、収入アップにおすすめの資格を紹介します。
最初に工場勤務でも資格を取得することが有効な理由を説明します。「資格は持っていたほうが良いのだろうけど、実際に何に役立つのかわからない」または「資格を取得するには時間やお金がかかるので、それだけのメリットがあるのか疑問」という人のために、資格を取得することで得られるメリットを4つ紹介します。
スキルアップにつながる
1つ目の理由は、資格を取得すること自体が自分自身のスキルアップにつながるからです。資格を取得するためには、知識を身に付けたり、技能を習得したりする必要があります。そのため、工場で働くうえで役立つ知識や技術を身に付けることができ、今後働くうえでいかせる場面も増えてきます。資格取得のために努力することは、自己研鑽やスキルアップのためにも有用といえます。
また、取得する資格の種類によって仕事の幅を広げることができます。危険物の取扱いや、フォークリフトの運転、電気設備のメンテナンスなど、資格を持っていないとできない作業も、資格を取得することで可能となります。従事できる作業が増えるということは、仕事の選択肢も多くなり、キャリアアップの道も開けてきます。
周りからの信頼や評価を得られる
2つ目の理由は、周りの人からの信頼や評価を得られることです。資格を取得することによって、上司や管理者からは、仕事に対する向上心や意欲が評価される可能性が高くなります。他のスタッフにはない差別化を図れるので、新たに責任のある役割をまかせられるケースもでてきます。同じ職場で働く人達からは、努力が認められて信頼も得やすくなるでしょう。資格を取得することは自信にもなるので、さらなるモチベーションのアップや、より働きやすい環境づくりに役立ちます。
昇給につながることもある
3つ目の理由は、資格の取得が昇給や昇進にもつながることです。企業によっては業務に関係する資格を保有していると、資格手当が支給され、その分の給料が高くなる場合があります。正社員でなくても、派遣社員やパート、アルバイトでも資格を持っている人のほうが、賃金が高くなる傾向があります。また生産管理などの責任者のポジションに就くためには、資格の取得を必須としている場合もあり、昇進のためにも役に立ちます。
会社内での昇進を考えているのならば、資格は武器になるので取っておいて損はありません。資格を取得するにはお金がかかりますが、資格手当をもらえたり、昇進したりすれば、資格取得にかけた費用はすぐに回収できるでしょう。
転職しやすくなる
4つ目の理由には、資格を取得することで転職がしやすくなるという点があげられます。広く一般的に認められている資格を持っていれば、今の会社でなくても、評価の対象となる可能性が高くなります。つまり、転職する際に資格を持っていることが、大きな武器になるということです。特定の資格を採用条件としている企業もあるので、資格で即戦力になることをアピールできることもあります。現状の待遇に不満がある場合は、より待遇の良い会社に転職することを視野に入れて、資格を取得すると良いでしょう。
ここからは、工場勤務でいかせる資格について説明していきます。まずは、取得することができればとても有用な、国家資格を3つ紹介します。
危険物取扱者
危険物とは、消防法で定められた火災の危険性が高い物質のことで、危険物を取り扱うためには、危険物取扱者の資格が必要です。さまざまな危険物に関する知識をもち、適切に扱える人に与えられる国家資格です。医薬品や食品を扱う企業の他、ガソリンスタンドなどで危険物を取り扱う場合にも必要になります。危険物は第1類~第6類までの6つの分類があり、危険物取扱者の資格は扱える危険物の種類によって、以下のように3つに分かれています。
・甲種
甲種は第1類~第6類すべての危険物の取り扱いができますが、難易度は一番高くなります。
・乙種
乙種は取り扱える危険物の種類ごとに、第1類~第6類までの6つの資格に分かれています。試験に合格した種類の危険物のみ取り扱うことができます。
・丙種
丙種は第4類の危険物の一部しか扱うことができません。
危険物取扱者の資格で最も人気があるのが乙種第4類です。第4類の危険物は引火性液体と呼ばれ、ガソリン、軽油、灯油、重油などが含まれています。危険物全体の約80%を占めているため、乙種第4類の資格を取得しておけば、一般的な危険物のほとんどを扱うことができるようになります。工場勤務の場合も乙種第4類を取得しておけば問題ないでしょう。
衛生管理者
電気工事士とは、住宅、ビル、工場などあらゆる建物の電気設備の工事を行える国家資格です。電気工事は危険が伴うため、資格を持った人だけが行うことができます。家庭の電気配線やコンセントの増設・修理も電気工事にあたるため、この資格が必要となります。電気に関連する製品などを扱っている工場では、電気工事士の資格が役に立つ場面も多くあります。電気工事士の資格は工事範囲により、以下のように2つ分かれています。
・第一種電気工事士(500キロワット未満の自家用電気工作物の工事)
・第二種電気工事士(600ボルト以下の一般用電気工作物の工事)
第二種の資格を取得すれば、一般住宅や小規模の店舗の電気設備の工事を行うことができます。第一種のほうが上位の資格で、第二種の電気工事に加え、ビルや工場などの電気設備の工事も行うことができます。ただし、試験の難易度は第一種のほうが高くなるので、まずは第二種の資格の取得を目指したほうが良いでしょう。
電気関係の資格には、さらに上位の電気主任技術者(第一種、第二種、第三種)という資格も有用です。電気工事士よりもハードルは高くなりますが、幅広い知識を保有した電気のスペシャリストとして活躍できる機会は広がります。
次に、工場の現場で使える資格を4つ紹介します。
フォークリフト運転技能者
フォークリフトは工場や倉庫で荷物の運搬に使われることが多い荷役自動車ですが、運転するには免許が必要です。フォークリフト運転手の需要は多く、比較的に簡単に取得が可能なので、資格として持っておいたほうが良いでしょう。フォークリフトを運転できる資格は以下の2種類があります。
・フォークリフト運転技能講習
最大積載荷重量が1トン以上のフォークリフトを運転できる資格です。技能講習(学科と実技)を受講して、修了試験に合格すると技能講習修了証が発行されます。この技能講習修了証がフォークリフトの運転免許となり、すべてのフォークリフトを運転できるようになります。
・フォークリフトの運転の業務に関わる特別教育
一般的に「フォークリフト特別教育」と呼ばれるもので、最大積載荷重量が1トン未満のフォークリフトを運転できる資格です。フォークリフトを扱う事業者で行われ、特別教育(学科と実技)を受けるだけで特別教育修了証が発行されます。技能講習のような修了試験はありませんので、より簡単に資格を取得できますが、その分、運転できるフォークリフトの種類に制限がかかります。
これからフォークリフトの資格を取得するのであれば、すべてのフォークリフトを運転できるフォークリフト運転技能講習の修了証を取得することをおすすめします。なお、上記の資格は工場施設内でフォークリフトを運転するための資格で、公道を走行するためには、特殊自動車免許(小型または大型)が必要になります。
玉掛技能者
玉掛けとはクレーンで荷物を吊り上げる際に、クレーンのフックに荷物を掛けたり、外したりする作業を指しています。玉掛け作業が確実に行われていないと、途中で荷物が落下することがあります。吊り上げる荷物が重くなればなるほど、落下したときの危険性は大きくなってしまいます。そのため、荷物の重さに応じた吊り具の選定や、用具の安全管理、吊り上げたときの重心の調整などの知識や技術が必要になるのです。玉掛け作業の資格には以下の2種類があります。
・玉掛け技能講習
吊り上げ荷重1トン以上の大型クレーンの玉掛け作業を行う際に必要な資格です。技能講習を受講することで資格を得ることができます。講習は学科と実技があり、それぞれ修了試験が行われます。
・玉掛け特別教育
吊り上げ荷重1トン未満のクレーンの玉掛け作業を行うには資格は必要ありません。しかし、玉掛け作業は危険を伴うため、この特別教育を修了するのが望ましいとされています。現場によっては、特別教育を修了していないと、1トン未満のクレーンでも玉掛け作業に従事できない場合もあります。
玉掛け技能者の資格は、自動車工場などの重い部品や製品を扱う職場で重宝されます。難易度は低く、誰でも勉強に取り組みやすい資格です。次に紹介するクレーン運転士の免許とセットで持っているとなお有利です。
クレーン運転士
クレーン運転士とは、文字通りクレーンを運転するための資格です。工事現場などにおいて資材を吊り上げる作業の他、工場でもクレーンを使う作業は多くあります。クレーンを運転する資格は2種類の免許と、技能講習、特別教育を受講する方法があり、それぞれ運転できるクレーンの種類が異なります。
・クレーン・デリック運転士免許
以前は別々だったクレーン免許とデリック免許が、平成18年に統合された免許です。移動式クレーンを除いて、吊り上げ荷重5トン以上のクレーンを運転することができます。デリックはクレーンのように荷物を吊り上げる装置ですが、その利用数は減ってきています。クレーンとの違いは、本体とは別に設置された原動機を利用して、ウィンチでワイヤロープを操作することで荷物を上げ下げするところです。クレーン・デリック運転士には3種類(限定なし、クレーン限定、床上運転式クレーン限定)の免許があります。
・移動式クレーン運転士免許
吊り上げ荷重5トン以上の移動式クレーンを運転するために必要な免許です。移動式クレーンとは、トラックの上にクレーン装置を装着した車両や、車体下部にクローラー(キャタピラ)が装着されたクレーン車のことです。なお、移動式クレーンであっても、吊り上げ荷重が1トン未満であれば、技能講習や特別教育で資格を取得することが可能です。
・技能講習
社団法人日本クレーン協会が実施する技能講習です。5トン未満のクレーンや、1トン以上5トン未満の小型移動式クレーンを運転する資格を取得できます。
・特別教育
特別教育はクレーンを扱う事業者が行う講習です。5トン未満のクレーンや、1トン未満の小型移動式クレーンを運転する資格を取得することができます。
溶接技能者
溶接技能者とは、溶接に関わる作業を行う上で必要となる資格で、工場でも有用となる場面があります。溶接の資格は、溶接する物の種類や溶接方法によって、それぞれ必要な資格が分かれています。工場の現場で用いられている溶接方法に合った資格を持っていることで、活躍できるチャンスが広がります。工場で利用しやすい資格には以下のものがあります。
・アーク溶接作業者
アーク溶接とは、放電現象(アーク放電)を利用して、金属同士を接合する溶接方法です。現在、最も一般的な溶接方法で、さまざまな分野で幅広く利用されています。
・ガス溶接技能者
ガス溶接とはガスを利用して溶接を行う方法です。溶接作業のなかでは基本的な技術であるため、この技術を身に付ければ、他の溶接作業にも応用することが可能です。溶接の資格のなかでは比較的簡単に取得できる資格です。
・銀ろう付け技能者
銀ろう付けとは、接合する母材より溶ける温度が低い銀ろう(銀、亜鉛、銅の混合剤)を接着剤として利用して、母材を溶かすことなく接合する溶接方法です。母材を溶かす必要がないので小さな部品の加工に向く技術です。電気機器の配線に利用される、はんだ付けと似た溶接方法になります。はんだ付けとの違いは、溶かす温度が高くなるため、ガスバーナーや工業炉が必要となり、危険性が高くなるという点です。
最後に、国家試験や現場で使える資格の他に、あると便利な資格を3つ紹介します。
CAD利用技術資格
CADとはコンピューターを使って設計や製図をするシステムのことです。建築や機械の設計において有用な技術となり、商品開発では欠かすことのできない能力とも言えます。CAD作業をするために資格は必要ありませんが、資格を取得しておくことで、一定の知識や技術があることを証明するのに役に立ちます。CAD関連には以下のように複数の資格が存在します。
・CAD利用技術者試験(2次元、3次元)
・CADトレース技能審査(建築部門、機械部門)
・Autodeskマスター
・三次元設計能力検定試験
上記のうち最も一般的なのがCAD利用技術者の資格です。この資格を持っているだけで活躍できる場面も増えるので、CADを扱う仕事をする場合には取得しておきたい資格です。
機械加工技能士
機械加工とは旋盤、フライス盤、マシニングセンターなどの工作機械を利用して、金属材料を加工する作業のことです。金属製品の部品を作成するときに必要な作業で、ものづくりの基本となります。機械加工技能士の資格には、3級、2級、1級、特級という4階級があり、3級が最も難易度が低く、実務経験6カ月以上あれば受験可能です。この資格を取得することで、機械加工の技術レベルを証明することができ、転職時にも能力や技術力の指標としてアピールすることができます。機械加工の実務経験と技術を持っているなら、取得しておいて損はありません。
廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物処理施設技術管理者とは、廃棄物の処理方法や、清掃の仕方をマスターした人に与えられる資格です。エコ(自然環境に良いこと)が注目されてきているなかで、環境や廃棄物に詳しい人が必要とされることも多くなってきました。工場での作業には直接結びつかなくても、エコに対する意識の高さが評価される場合もあります。資格取得の難易度は低く、基礎・管理課程と、管理課程の講習を受けた後、能力認定試験に合格すれば廃棄物処理施設技術管理者として認められます。
この記事で紹介した通り、工場勤務に役立つ資格は数多くあります。勉強する時間を確保したり、努力したりするのは大変ですが、資格を取得することで得られるメリットは大きいです。ぜひ、資格取得にチャレンジしてみてください。また、既にこれらの資格を保有している人は、工場勤務で優遇される可能性が高くなります。興味がある人は工場の求人にweb応募してみてはいかがでしょうか。
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