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2019/10/17(木) 配信
科学技術の分野で働く人の中では将来のことを考えて、技術士の資格を取ろうとする人がいます。技術士の資格は、取得していると多くのメリットがあるからです。しかし、いざ取ろうと思っても実際の試験内容や難易度がよく分からない人もいるのではないでしょうか。この記事では、具体的な技術士合格へのプロセスや試験の合格率について紹介します。
技術士は取得するのが大変難しい資格の1つとして知られています。実際に難易度などを紹介する前に、そもそも技術士とはどのような資格なのか、特に倍率の高い部門はあるのかといった基本的情報について見ていきましょう。
国家資格「技術士」の概要
技術士というのは、テクノロジー産業の発展に貢献できる優秀な技術を持っていることを証明する国家資格のことです。この資格を取得するには、高い専門技術や応用能力、豊富な実務経験、技術者論理などが求められます。また、技術者といってもその分野は幅広く、機械部門、化学部門など全部で21の部門に分かれています。なぜ、技術士が求められるのかというと、今まで世界の産業の発展に大きく貢献しているという実績があるからです。さらに、環境破壊や健康被害といった人類が抱える大きな問題を解決してくれる存在でもあります。
技術士が活躍する場としては、農業部門の技術士なら温室の開発があります。この働きによって、人々が新鮮で美味しい野菜や果物を食べられるようになるのです。また、上下水道部門の技術士なら、工場排水の処理方法を考えます。排水を上手く処理することができれば、人々への健康被害や環境汚染といった悪影響もなくなっていくでしょう。
受験申し込み者数の多い部門
2014年から2018年の5年間に絞って見ると、技術士試験の受験者は全体で例年2万人程度です。中でも特に人気の高い部門は「建設部門」です。受験者のおよそ半数である1万人前後が毎年受験するという、ずば抜けた数字を誇っています。受験者数は大きく減りますが、ここに続くのが「電気電子部門」と「機械部門」という2つの部門です。この2部門の受験者数はほぼ同じで、どちらも約3000人が受験を希望します。そして、この後に続くのが「上下水道部門」と「環境部門」の2部門です。受験者数はどちらも約1000~1500人になっています。
なぜ建設部門にここまで受験者が集中するのかというと、建設コンサルタント会社が登録をする際に建設部門の技術者が必要となるからです。また、公共工事入札の際には、技術者が社内に何人いるかが評価の対象になります。つまり企業からすると評価が高く、非常に必要となる人材ということになります。
技術士は確かに難易度が高く、決して簡単に取得できる資格ではありません。しかし、技術士にはその難易度に見合っただけのメリットがあります。では、技術士試験に合格するとどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
転職時に有利に働く
日本に根付いていた終身雇用制度が廃れていくにつれて、転職のことを考えながら働く人が増えてきました。一般的な知名度はそこまで高くない技術士の資格ですが、科学技術の世界では、技術士は難関資格として高く評価されています。そのため、いざ転職をしようというときにも、スムーズに他の企業に入れる可能性が高いのです。高い専門知識や技術があり、転職において有利というのは、将来のことを考える上でも大きなメリットといえるでしょう。
年収アップが期待できる
技術士の平均年収は、他の職種などと比べてもかなり高く、およそ600万円だというデータがあります。全職種の平均年収がおよそ400万円程度なので、それと比較しても高めということが分かるでしょう。しかも、この年収は大企業であればあるほど高くなる傾向があるので、600万円というのは参考の数字に過ぎません。また、現在の年収がこの額より低い場合でも、技術士の資格を取得することで上がる可能性もあります。他にも、技術士の資格取得によって手当がもらえたり、社内で昇進できたりといったチャンスにも恵まれる可能性があります。
それでは、実際に技術士になるためのプロセスについて紹介していきます。技術士になるためには主に3つのステップを踏む必要があり、全てを終えるのに長い時間がかかるのが特徴です。技術士になるには根気が必要なのです。
修習技術者になる
技術士になるには、まずは「修習技術者」になる必要があります。修習技術者というのは、技術士になる前段階の資格である「技術士補」になる資格を持つ人のことをいいます。修習技術者になるためには、2つの方法があります。1つ目は、指定の教育課程を修了するという方法です。指定の教育課程というのは、大学といった教育機関で文部科学大臣が指定した課程のことで、別名「JABEE認定プログラム」とも呼ばれます。無事にこの課程を修了すれば、第一次試験合格者並の実力があると見なされ試験が免除されます。
2つ目は、技術士資格の第一次試験に合格するという方法です。この試験は誰でも受験が可能で、日本技術士会によって毎年10月に実施されています。合格発表は12月です。基礎科目・適性科目・専門科目の3科目からなり、問題は全てマークシート方式、合計4時間の試験となります。3科目の合計正答率が50%以上であることが合格の条件です。ただし、「総合技術監理部門」に関しては、第一次試験がなく、第二次試験のみとなっています。
実務経験を積む
第一次試験を合格して修習技術者になることができれば、次は第二次試験を受験するために必要な条件を満たす必要があります。それは実務経験を積むことです。では、実務経験をどれくらい積めばいいのかというと、修習技術者になった後に「技術士補」に登録したかどうかによって変わってきます。ちなみに「技術士補」は修習技術者でなければ登録ができません。既に登録を終えている場合は、指導技術士の下で4年以上の実務経験を積めば第二次試験に進めます。
一方で、登録をしていない場合は2つの選択肢があります。1つは、実務経験が7年以上ある監督者の下で4年以上の実務経験を積むこと、もう1つは、7年以上の実務経験を積むことです。後者の場合は、修習技術者になる前の期間も含めることができます。どちらかの条件を満たせば、第二次試験の受験資格を得ることができるのです。
第二次試験に合格する
2つ目のステップである実務経験を積んで、第二次試験に合格することができればようやく技術士の資格を得ることができます。つまり、第二次試験が技術士になるための最終試験になります。第二次試験には、筆記試験と口頭試験という2種類の試験があり、筆記試験に合格できた者だけが次の口頭試験に進むことができます。筆記試験が毎年7月実施、10月合格発表なのに対し、口頭試験は毎年11月〜1月実施、合格発表は3月とかなり長いスパンになります。試験内容ですが、筆記試験は「必須科目」2時間、「選択科目」3時間半で、それぞれで60%以上の正答率を出せれば合格となります。
口頭試験は、実務能力や適格性を問われる20分程度の試験で、こちらも60%以上の正答率で合格です。ただし、総合技術監理部門に関しては第二次試験しかないので、その分、筆記試験・口頭試験の試験科目が多く、試験時間も長く設定されています。ちなみに、2019年度から筆記試験の形式がこれまでの択一式形式から記述形式へと変更されるため、試験の難易度が上がるといわれているので注意が必要です。
技術士の試験は、第一次試験も第二次試験も1年に一度しか受験することができません。そうなると、気になるのはそれぞれの試験の合格率はどれくらいなのかということでしょう。ここでは、過去のデータを見ていきます。
第一次試験の難易度
第一次試験の合格率は過去5年間のデータを見る限り下がり続けているので、難易度は上がってきているといえます。具体的な数字で見ると、2014年の段階では61.2%あった合格率が、2018年には37.8%にまで下がってしまっています。つまり、第一次試験の時点で6割以上の受験生が不合格になっているということです。ただし、これはあくまでも技術士試験全体の数字なので、部門によっても大きく数字が異なります。例えば、人気部門の「建設部門」の合格率推移は全体の数字と大きく差はありません。
一方で、「機械部門」の合格率推移は比較的緩やかで、2017年から2018年にかけては49.2%から34.0%とガクッと合格率が下がっています。また、「電気電子部門」は2014年の段階で52.8%と、他の部門より合格率が低めとなっています。
第二次試験の難易度
第二次試験の合格率は第一次試験よりも下がりますが、年々合格率が低くなってきているという点は共通です。全体の合格率は、2014年の段階から15.1%とかなり低いですが、2018年には9.1%と1割を下回ってしまっています。これはかなりの難関試験といえるでしょう。しかも、前述したように、2019年度の試験では択一式問題がなくなるので、さらに難易度が上がり、合格率が下がる可能性が高いです。
また、主要部門ごとの合格率を見ると、「建設部門」の合格率は全体から見ても低く、2018年に至ってはわずか6.3%となっています。「電気電子部門」に関しては、全体の合格率と大きな開きはありません。一方で、「機械部門」に関しては過去5年間の合格率が全て20%を超えるなど比較的高い数字になっています。
技術士になるためには長い実務経験が必要なので、どうしても働きながら資格取得を目指すことになります。ただでさえ難関な試験に仕事と両立しながら合格するのは容易ではありません。最後に、合格するためにはどのように対策をすればいいのかを見ていきましょう。
通信講座を受講する
技術士試験対策の1つ目として、通信講座を受講するという方法があります。通信講座のメリットは何といっても、技術士試験への対策が効率よく行えるという点です。合格のための教材が与えられたり、サポートを受けたりすることができ、自分で具体的な計画を立てる必要もありません。一方で、デメリットとしては費用がかかることです。当然、通信講座には教材費などのお金が発生するので、経済的負担は免れません。
通信講座に向いている人は、自己管理が苦手な人です。技術士試験は、難易度が高いのはもちろん、長期戦が確定している試験です。並大抵の努力や忍耐力では合格することはできません。ですから、自分で詳細なスケジューリングをしたり、そのスケジュールに沿った勉強がうまくできなかったりする人に通信講座はピッタリでしょう。合格するまで手取り足取り手厚くサポートしてくれます。また、誰か専門の人に添削をして欲しいという人にも向いています。添削をしてもらえれば、自分だけで試験対策をするのに比べて自信にもなりますし、安心感を得ることもできます。
独学で勉強する
技術士対策のもう1つは、独学での勉強です。独学のメリットは、費用がかからないことです。かかるのは受験費用と教材費のみなので、通信講座を受けている人に比べるとコストを減らすことができます。経済的に余裕がない人にとっては大きな利点です。一方で、自己管理がうまくいかないと挫折してしまうというデメリットもあります。誰も管理してくれないというのはもちろん、自分だけで勉強しているという不安感や孤独感が挫折に繋がってしまうのです。それを裏付けるものとして、2018年度のデータがあります。このデータによると、独学受験生の第一次試験受験率が約78.6%、第二次試験では約79.1%で、およそ2割が受験を断念して欠席をしたのです。それだけ独学での勉強は精神的にハードで続けにくいということになります。
では、どのような人が独学に向いているのかというと、自分1人でもコツコツと勉強を続けられる人です。意志が弱く、すぐに勉強を投げ出してしまう人には向いていないといえるでしょう。また、技術士の人がいるなど、身近に試験合格をサポートしてくれる人がいる人も独学は向いています。その人が通信講座でいうところの添削を行なって管理してくれたり、合格のためのアドバイスをしてくれたりするからです。独学でも工夫次第で、効率よく勉強することは可能だということが分かります。
技術士試験の合格への道は平坦なものではなく、長く険しいものです。しかし、転職がしやすく、キャリアアップにも繋がりやすいなどその大変さに見合っただけのメリットが技術士の資格にはあります。独学や通信講座などさまざまな勉強方法があるので、自分なりに計画を立てて、合格に向けてしっかりと勉強をしていきましょう。
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