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2019/10/02(水) 配信
重さのある荷物を運搬する機会がある現場では、玉掛作業は必須です。そのような場所も含めて、これから仕事を探したいと考える人のなかには、玉掛について詳しく知りたい人もいるでしょう。玉掛技能者の資格を取得していれば、就職にも有利に働くことがあります。そこで、この記事では玉掛が必要となる求人の特徴や玉掛の作業内容などについて詳しく紹介します。
まず、この段落では玉掛の作業内容や、作業を行うにあたって必要な資格、資格取得の条件や取得法について詳しく解説します。
玉掛の作業内容
街中を歩いているときなどに、建設現場で建材などを大きなクレーンが持ち上げている光景を目にしたことがある人も多いはずです。クレーンを用いて荷物を運搬するとき、吊り具を用いて吊り上げ、移動させます。その際、荷掛および荷外しの作業を行うのが玉掛作業です。
クレーンなどを使って荷役運搬作業を行うときは、吊り荷をクレーンのフックで吊るためのワイヤーロープなどが必要になります。そのため、玉掛作業を担当する者は、ワイヤーロープなどの吊り具の準備をしなければなりません。実際に荷役運搬作業が始まれば、荷を吊り上げて吊り荷を移動させ、決められた場所に設置します。また、吊り荷を目的の場所まで移動して終わりというわけではなく、玉掛に使用する用具などを片付けるところまでが一連の作業です。さらに、実際に荷を吊して運ぶクレーンへの合図動作も含めて玉掛作業と呼ばれます。
玉掛の作業を行うのに必要な資格
重い荷物を運搬することが多い玉掛作業は、ひとつ間違えば大惨事を引き起こしてしまいます。そのため、玉掛作業を行うためには、作業に必要な知識や技術を十分身につけていなければなりません。
吊り上げの荷重制限が1トン未満のクレーンや移動式クレーン、デリックを使って業務を行う場合、「玉掛けの業務に係る特別教育」を受講して終了することが必要です。受講要件は特になく、講習は学科と実技の両方があります。学科では関連法令やクレーンに関する知識、玉掛けに必要な力学に関する知識が各1時間、玉掛けの方法についての勉強が2時間です。実技ではクレーン等の玉掛けに3時間、クレーン等の運転のための合図に1時間が割かれています。
一方で、荷重制限が1トン以上のクレーンや移動式クレーン、デリックを扱うことができるのは、次の段落で詳しく説明する「玉掛技能講習」を修了した者だけです。なお、玉掛技能講習を修了した者は、1トン以上のクレーンなどはもちろん、1トン未満のクレーンなどの玉掛作業にも就業することができます。
この資格を有しているということは、当然、運搬する荷物にふさわしい吊り具を選定し、荷物を吊り上げる手順や重心を調整しながら安全に荷物を誘導できる技術を有している人物です。また、玉掛作業に使用するワイヤーなどの用具に損傷などがないかを確認し、クレーンを操縦する運転手との合図もしっかりできる知識や技術を持っていることになります。
玉掛技能の資格を取得する条件
1トン以上のクレーンや移動式クレーン、デリックを扱うことができる玉掛技能者の資格を取得するためには、年齢が18歳以上であることが必要です。しかし、ほかに特別な学歴や経歴などは問われません。そのため、18歳以上になっているのなら、誰でもチャレンジできる資格だとえいます。
資格を取得する際、関連する他の資格を所有している場合や、関連する資格の講習を受講した経験がある場合、実務経験がある人などには免除される講習もあります。たとえば、クレーン運転士免許や移動式クレーン運転士免許、クレーン・デリック運転士免許のほか、港湾荷役で使われる揚貨装置を扱う揚貨装置運転士免許などです。
また、床上操作式クレーン運転技能講習や小型移動式クレーン運転技能講習を受講した経験のある人の場合も、学科講習が数時間免除になります。ほかにも、玉掛補助作業を経験している人のように実務経験がある場合も、講習の免除対象です。所有している資格や実務経験などで免除される時間が異なるため、対象者はあらかじめ労働技能講習協会に問い合わせておくようにしましょう。
玉掛技能の資格を取得する方法
玉掛技能講習を実施しているのは一般社団法人労働技能講習協会です。実際に技能講習をうけるためには、まず、一般社団法人労働技能講習協会にFAX、または公式ホームページ上からインターネットで申込を行う必要があります。申込に使うFAX用紙は、ホームページからダウンロードできるほか、電話して取り寄せることも可能です。インターネットでの申込なら、各回の定員に空きがあるかどうかもわかります。
講習が実施されているのは東京と静岡の2箇所です。東京では毎月行われていますが、静岡は年に数回の実施になっています。2016年度は5月に2回と8・10・11・2月に各1回開催されました。講習は労働安全衛生規則第83条玉掛け技能講習規程(労働省告示第119号)に従って、3日間にわたり実施されます。1日目と2日目は学科講習が行われ、3日目は実技講習です。2日目の最後には学科試験で学んだ内容に対して筆記の修了試験があり、3日目の最後には実技の修了試験があります。
学科の講習としては、関係法令とクレーン等に関する知識が1時間とクレーン等の玉掛けの方法が7時間、クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識が3時間です。実技講習ではクレーン等の運転のための合図を1時間、クレーン等の玉掛演習を6時間学びます。なお、学科講習の最後に行われる学科試験が1時間とられています。学科試験のためにも、将来仕事に就くときのためにも、学科講習を受けるときは講師の話を真剣に聞いておくことが大切です。また、実技演習では積極的に実技に参加しながら、玉掛についての練習を納得いくまで行い、資格勉強をしましょう。
この段落では、実際に玉掛けを行うために必要な内容について詳しく説明します。
準備をしっかりする
玉掛は大きな荷物をクレーンで吊り上げる作業であるため、安全に行うために事前の準備が大切です。まずは、吊り荷の大きさや形状、重量などを正確に把握しておかなければなりません。そして、移動先の場所や移動ルートを確認するとともに、移動先ではどのように置くかも事前にチェックしておくことが必要です。また、使用するワイヤーロープなどの吊り具も、吊り荷の重量や形状によって長さや太さなどが最適なものを準備し、作業に適した吊り方も決めておきます。
実際にワイヤー掛けを行う前には、あらかじめ吊り荷の重心位置を目測で把握しておくことも大切です。そして、吊り荷に最適な吊り具を使用してクレーンのフックを重心所に移動させます。なお、吊り具は使用前だけではなく、使用後にも損傷がないかどうかしっかり点検し、常に安全な吊り具で作業が行えるように努めるのも玉掛作業をするうえで大切なポイントです。また、作業者の配置を確認しておきましょう。
作業のポイントを理解する
玉掛の作業にはそれぞれの段階で気をつけなければいけないポイントがあります。吊り荷をクレーンで吊り上げる際、ワイヤーロープのアイ(目の部分)をクレーンのフック部分に引っかける作業がアイ掛けです。そのアイ掛け作業が片側の一箇所でできるように、ワイヤー掛けの作業では、アイを片側にすべて置くようにしておかなければなりません。その際、なにかあったときはすぐに待避できるよう、両足はそろえないようにして作業することが大切です。
ワイヤー掛けが済めばクレーンを呼んで移動させ、重心位置を確認しながら巻き上げてアイ掛けしやすい高さで止めます。吊り上げるときはバランスが取れていなければ危険ですから、センター合わせが大切です。重心上にフックがくるように、吊り荷の前後および左右それぞれの方向からしっかり確認してクレーンを移動させます。そして、次の手順がクレーンのフックにワイヤーロープのアイ部分を引っかけるアイ掛けです。アイ掛けではフックにあるワイヤー外れ防止の留め金が正常かどうかを必ず確認しなければなりません。また、アイ掛けを行ったあとは直接ワイヤーに触ると手を挟まれるなどの危険も考えられるため、直接手で触らず手鉤を使って作業します。
荷掛けでは、吊り荷にかけたワイヤーがフック上で重ならないことが大切であるため、しっかりチェックすることが大切です。そして、ヤワラと呼ばれる当て物を入れやすい高さにまでワイヤーを巻き上げます。吊り荷を吊り上げる直前の地切り前には、玉掛が正常にできているかどうかをワイヤーが張った状態で停止させて確認します。地切りから移動の段階でも注意しなければならないポイントが複数です。まず、地切りしても一気に移動させてしまわず、まずは約10cmの高さで一旦停止させ、振れや傾きなどがないか、吊り荷の安定を確認しなければなりません。そして、人に衝突することを避けるためにも、人の背の高さを超える2m以上の高さを保って吊り荷を移動させることも大切なポイントです。
吊り荷を着床させるときは、クレーンを着床させる場所まで誘導して一旦10cm程度の高さで停止させ、正確に着地位置に合わせる微調整を行います。その際は吊り荷に直接触れてはいけません。必ず、手鉤を使って作業し、吊り荷の下に体を入れることも厳禁です。
大きく重量もある吊り荷を扱う玉掛作業は、安全管理をしっかりしていないと重大な事故につながる可能性もあります。たとえば、吊り荷を吊しているワイヤーが切断する事故です。ワイヤーロープの点検が不十分だったり、適切なワイヤーロープを使用していなかったりすると、作業中に切れる可能性があります。もし、吊り荷が落下してしまえば、下にいる人に怪我をさせてしまうかもしれません。また、ワイヤーロープを引き上げるときに地上で作業している人との連携が取れていないと、ワイヤーが張ったときに指を挟まれてしまう事故が発生する危険性もあります。
吊り荷の移動ルートに人が入り込んでいると、吊り荷と衝突する危険も考えられるため注意が必要です。衝突を避けるためには、作業の際に確認作業を徹底させなければなりません。また、人の背の高さを超える床上2m以上に吊り荷の高さを保って移動するなど、基本的なルールをおろそかにしないことも大切です。
吊り荷の移動中や着地時には、吊り荷に挟まれる事故も起こる危険性があります。吊り荷を移動させている間は不足の事態も想定しながら安全な位置に待避し、吊り荷を下ろすときも細心の注意を払いながら作業することが大事です。さらに、吊り荷とともに落下する事故が発生すれば、さらに大きな怪我を負う危険が高まります。
玉掛技能者の求人に関する情報には、この段落で紹介するようなものが挙げられます。
玉掛技能者のお給料はどれくらい?
正社員として玉掛技能者が働く場合、厚生労働省が発表したデータによると年収は男性で約409.4万円、女性は約326.1万円です。男女で年収が違う一因としては、超過労働時間が異なっているケースが考えられます。2017年の調査では、男性の超過労働時間が18時間であるのに対し、女性の超過労働時間は1時間でした。一般的には男性のほうが女性よりも超過労働時間が長い傾向があり、その分収入が多い傾向にあるのです。
同じく2017年の調査では玉掛技能者の男女比は男性が98.3%であるのに対し、女性はわずか1.7%という結果でした。このように、確かに玉掛技能者として業務に就いている女性は非常に少ないものの、平均勤続年数では男性よりも女性のほうが長く勤めています。資格を取得すれば男女にかかわらず同じように知識や技能を有していると認められる仕事であるため、一概に玉掛技能者は女性にとって不利な職業ではないといえるでしょう。
玉掛作業は建設現場など、大きな荷物を運搬する必要がある職場では必ず必要な業務です。そのため、資格を持った人材も必要とされます。ただし、作業をする際には危険が伴うため、玉掛技能の資格を取得しようとするときは、危険性を把握しておかなければなりません。資格を取得したあとは、玉掛技能者の求人の特徴を理解したうえで、希望に合うところがあれば応募してみてはいかがでしょうか。
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